老後資金はいくら?|持ち家だったら3,000万円とかいう情報を信じないワケ

40代の私たちが老人の時には、親世代よりもらえる年金が減ることは確実ですね。老後資金としていくら貯めれば十分なのか、いろいろな情報がありますが、比較的下記のような情報をよく目にしませんか?

会社員で持ち家なら老後資金は3,000万円

これは、老後に必要な生活費がだいたい1億円超だけど、年金などで約7,000万円用意できるというような前提であることが多いです。

もちろん、老後資金は1,500万、3,500万とかいろいろな計算があるので、単なる一例ですが、だいたいそんなイメージのようです。

実際、自分の両親を見てみると、3,000万円もの貯蓄はありませんが、厚生年金なので年金が比較的十分に支払われているので、特に不自由なく生活できているようです。

施設に入るとなるとお金が足りなくなるのかもしれないのですが、自宅を売却したら何とかなるのではというように考えているそうです。

しかしながら、想定以上の少子化が進む現代において、高齢者の生活はどんどん悪化するニュースしか聞こえてきません。

  1. 少子化による年金減額
  2. 介護保険自己負担増加
  3. 医療費自己負担増加
  4. 消費税増税

1. 少子化による年金減額

現在の日本の年金制度は、自分達の老後のために積み立てる形式ではなく、現在の若い世代がお年寄りを支えるという相互扶助方式です。

自分達の老後資金を積み立てる積立方式ではなく、賦課方式と呼ばれています。

そのため、今の高齢者は比較的たくさんの年金をもらえていますが、今の現役世代が老人になる頃には、高齢者を支える若者が減っているため、年金支給額は今のお年寄りがもらっているより減ることは明らかです。

それでも、国民年金は一生涯給付が続くこと、障害年金や遺族年金という保険のような機能もあり、また給付の50%は税金が投入されているため、加入しないというのも結果的に損をしそうです。

老後の収入のベースになる国民年金・厚生年金ですが、一番身近な自分達の親が年金と退職金・貯金の取り崩しだけて生活できているという状態はあまり参考にならないのです。

2. 介護保険自己負担増加

介護保険も高齢者の急増により、自己負担を増やさざるを得ない状況になっています。

昨年、年金収入のみで年383万円以上の所得がある高齢者は、介護保険の利用料の自己負担割合が2割から3割に増えることも決まりました。

↓出典:日本経済新聞

介護保険、現役並み所得者の自己負担3割了承 厚労省意見書

厚生労働省は9日、介護保険制度の見直しに向けた意見書をまとめた。現役並み所得のある高齢者の自己負担を2割から3割に引き上げる案などを盛りこんだ。同日の社会保障審議会の部会でおおむね了承を経た。2018年8月から実施する方針だ。

厚労省は与党などと調整し、来年の通常国会に介護保険法の改正案を提出する。

自己負担が3割になるのは年金収入のみで年383万円以上になる人だ。14万人程度が相当する。

更に「一億総活躍社会」とやらで、女性の就業率が高まると、自宅介護が難しくなるので、施設介護となると介護保険の利用金額も上がります。

そうなると、介護保険保険料を際限なく上げる訳にはいかないので、高齢者の自己負担割合を増やすしかないのです。

父の介護をしていた時の介護保険は1割負担だったので、随分介護費用は安いなと感じた記憶があります。どちらかというと、介護保険が使えない食費などの部分で負担感がありましたが、介護費用については大変恵まれていると感じていました。

その3倍の介護費用がかかる可能性があると考えると、ちょっと老後が怖くなってきました…

3. 医療費自己負担増加

高齢者になると、何かしらの持病を抱えている割合が上がり、医療費も増加します。

膨らみ続ける高齢者の医療費に対応するため、自己負担割合が増加の一途をたどっています。

昨年12月15日に決まった医療制度の見直し方針では、70歳以上でも一定の所得があれば、現役世代と同じ負担を求められるようになります。

↓朝日新聞

崩れる医療費負担の「高齢者優遇」 制度見直し

今回の見直しで、年収が約370万円以上ある70歳以上は現役世代並みの自己負担を求められることになる。医療費を月100万円使えば、年収に応じて最大で月25万4180円払わなければならない。

年収が370万円以上ある場合は、すでに医療費の自己負担は3割です。現役並みに稼いでいるなら、現役並みに負担しろという応能の原則です。

今までは、3割負担でも入院などで多額の医療費がかかった場合、高額療養費制度により、医療費を月に100万円使っても8万7430円で済んでいたのです。これが今後は所得に応じて最大で25万4180円にあがるというのだからすごいですよね。

もちろん、年収により区分が設けられ、最大の25万4180円になるのは、年収1160万円以上なので、そこまで上がる人はいないでしょうが、より、払える者からは払ってもらおうという国の姿勢が明確になっています。

「年金の年収は370万円以上もないから大丈夫」と思っていても、この基準もだんだん財政が厳しくなれば、下がってより多くの人に負担させるようになりかねません。

4. 消費税増税

これからしばらく増え続ける高齢者の年金・介護・医療を支えるためには、広く税収を上げる必要があり、現状8%の消費税も少なくとも10%までは引き上げられます。

延期されているので、いつになるかは明確にはなっていませんが、これだけ負債を抱えた日本なので、選挙対策とか言わずに早く増税しなくて大丈夫かしら…と心配になります。

後世へのツケを回し続けても、この高齢化・少子化だと、財政状態は改善しないので、早くあげるしかないのではと個人的には思っています。

しかも、他の先進国はもっと高いからということで、10%以上に引き上げられる可能性も…消費税は毎日の生活に関わってくるので、30万円の月間支出がある場合、2%増税されると、6千円増えることになるので、結構大きいですね。

5. 最後に

年金収入が今の親世代より減り、介護費用・医療費負担・消費税などの支出が増加するのはほぼ確実なので、親世代より老後の生活を準備しておかなければ、生き生きとした老後生活を過ごすのが難しい時代になってきました。

怖いのは、現役時代に想定していなかったペースで、年金が減り、医療費・介護費用・消費税などの負担が増えていくのです。

国も「自己責任」のような感じで、「確定拠出年金で皆さん老後準備しておいて下さい」と、有利な税制を与えるから、自助努力でどうにかしろムードが高まっています。

2017年1月から、日本国民のほとんどが利用できるようになったiDeCoなどを利用して、親世代よりも自力で備える必要がありそうです。

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