トルコリラ債券は金利11%でも買わない方がいいと思う理由

長引く低金利で銀行預金に入れてもお金は増えないし、日本株を買いたいと思っても、もはや上がりすぎてバブルのような気がして怖くて買えない…

そんな中、金利11%の外貨建て債券を見つけて購入を検討している方はいらっしゃいませんか?

実は私も一度トルコリラ債券を購入して、痛い目にあっています。

1. トルコリラ建て債券のスペック

SBI証券で先日売り出されていたのトルコリラ建て債券を例に考えてみましょう。

今日既に見あたらなくなっていたので、完売したのでしょう。

  • 販売単位:5,000トルコリラ
  • 年利:11.22%
  • トルコリラ円の現在の為替レート:30円
  • 為替スプレッド:片道2円

年間11.22%(税引後 8.94%)もの金利が貰えるとなると、為替リスクがあるのを覚悟の上でも買いたくなりますね…

2. 為替スプレッドが往復4円

円をトルコリラに交換する場合は、現在の為替レートではなく、それに2円を足したレートを使います。

トルコリラを円に交換する場合も現在レートではなく、それから2円引いたレートしか貰えません。

往復で4円もの為替手数料が取られてしまい、5,000トルコリラ投資したら、2万円を既に損したマイナススタートになるのです。

為替手数料が往復いくらかかるかは、金融機関によって異なりますが、外貨建て債券の場合は、FXより高いのが一般的です。

3. トルコリラ債券の損益

購入時と3年後の償還時の為替レートが変動しないと仮定した時の損益を見てみましょう。

①為替手数料

5,000トルコリラを購入する場合には、5000×32円=160,000円の円貨を払い込む必要があります。(30円+2円(為替スプレッド))

5,000トルコリラが満期を迎え償還された時には、5,000×28円=140,000円の円貨が戻ってきます。(30円-2円(為替スプレッド))

14万円-16万円=▲2万円の為替手数料がかかっていることが分かります。

②配当金

次に11.22%という高い配当金です。これに目を奪われてトルコリラの地獄に足を踏み入れる方もいらっしゃるでしょう。4年前の私もそうでした。

配当が貰えるのが、年2回なので、5,000×11.22%÷2=280.5トルコリラが貰えます。

トルコリラの為替レートがずっと30円だった場合、一回の利払毎に280.5トルコリラ×28円=7,854円の利息が貰えます。

3年満期なので、6回分の金利 7,854×6回=47,124円の金利が貰えます。

税引き前の金額なので、ここから20.315%が税金として取られるので、手取りは47,124円-(47,124×20.315%)=37,551円

③総合収支

纏めてみると

金利:+37,551円
為替手数料:▲20,000円

3年間のトータルの収支は、37,551円-20,000円=+17,551円となります。

3年間のトータル利回りは、17,551円÷160,000円=11.0%

年利で計算すると、11.0%÷3年=3.7%となり、税引き後で8.94%だと期待して投資してたらガッカリの結果となります。

3.7%であれば、国内株式の高配当会社でも見つけられそうな利回りですよね。

4. トルコリラは底値に見えるから、やはり買いたい

日経平均がもうかなり高いから今から日本株を買うより、底値に見えるトルコリラを買いたいと考える方もいらっしゃると思います。

トルコリラの高金利と割安さ?に惹かれてどうしても保有したいという方は、トルコリラ債券ではなく、FXで投資する方がマシです。

FXなんて、レバレッジを効かせて破産しそうだから、怖くて手が出せない?

私もそう思い、数年前トルコリラ債券を買ってしまいました。

投資について勉強して、FXもきちんと資金管理して、レバレッジも1倍にすれば、外貨建て債券と変わらないことに気づきました。

5. FXでトルコリラを買う

では、私が取引を行っているマネーパートナーズnanoで、5,000トルコリラ購入して債券と同様に3年間運用したことを想定してみます。

  • 為替スプレッド:3.8銭(往復)
  • スワップポイント:9円/日(1,000トルコリラあたり)

売買にかかる為替スプレッドは往復3.8銭なので、トルコリラを買って償還されたら円貨に戻す往復取引の為替手数料は、5,000トルコリラ×3.8銭=▲190円です。▲2万円もかかっていたトルコリラ債券とは雲泥の差であることが分かります。

一方、利息代わりのスワップポイントですが、こちらは固定金利である債券と異なり、日本とトルコの金利差で計算されるので、日々変動します。とりあえず、現在の前提で計算すると、

5単位×9円(1,000トルコリラあたり)×365日/年×3年=49,275円

税引き前の金額なので、ここから20.315%が税金として取られるので、手取りは49,275円-(49,275×20.315%)=39,265円

纏めてみると

金利:+39,265円
為替手数料:▲190円

3年間のトータルの収支は、39,265円-190円=+39,075円となります。

レバレッジ1倍で5,000トルコリラを購入する場合には、5,000トルコリラ×30.019円=150,095円の円貨が必要となります。(30円+1.9銭(片道の為替手数料))

3年間のトータル利回りは、39,075円÷150,095円=26.0%

年利で計算すると、26.0%÷3年=8.7%となり、税引き後で8.94%だと期待してトルコリラ債券に投資したのとほぼ同じ結果が得られます。

いいことばかりのFXに見えますが、唯一外貨建て債券よりも劣っているところを言うなら、スワップポイントは日々変動するということです。

スワップポイントは日本とトルコの金利差なので、トルコの金利が下落したり、日本の金利が上昇したりすると、スワップポイントは下落します。

また、業者毎に自由にスワップポイントを設定できるために、自分が利用している業者だけスワップポイントが下がるというような事も発生します。

とはいえ、いきなり▲2万円の為替手数料を取られるトルコリラ債券よりはよっぽどいいので、もしどうしてもトルコリラを購入したいなら、FXのレバレッジ1倍で購入した方がよいでしょう。

6. トルコリラが下落したら…

この例では為替レートは3年間変わらずに30円と仮定していました。

しかしながら、トルコリラのような高金利通貨はインフレ率が高く、為替レートは下落していくのが通常となっています。

為替レートが仮に4円下落して26円になるとすると、5,000×▲4円=▲20,000円の追加の損失が発生します。

トルコリラ建て債券を購入していた場合、3年間のトータルの収支は、37,551円(配当金)-20,000円(為替手数料)-20,000(為替相場下落)=▲2,449円とマイナスになってしまいます。

7. 私の失敗談

仮定の話だとあまり実感が湧かないので、私の失敗談をご紹介します。塩漬けにしたトルコリラ債券です。

2014/10/15に1トルコリラ50.30円の時に購入したトルコリラ建て債券です。

現在の為替レートが1トルコリラ=29円です。すごい右肩下がりっぷりですね…

今償還されると、円転するために2円の為替手数料がかかるので、実質27円で円貨にすることとなります。

仮に今の為替レートで満期を迎えたとすると、(27-50.3円)×6,000トルコリラ=▲139,800円の為替差損が発生したこととなります。

一方この債券の金利は8%で4.5年間の運用なので、6,000トルコリラ×8%×4.5年×(100%-20.315%)×40円/トルコリラ(平均為替レート)=+68,848円

満期は2019年4月なのでまだまだトルコリラが下落して損失が拡大する可能性も大きいですが、現在の為替レートで償還されるとしても7万円以上の損失になってしまいました。

トルコリラ債券損益:68,848円(金利)ー139,800円(為替差損+為替手数料)= ▲70,952円

7万円くらいもらえる金利は大変魅力的でしたが、それ以上に為替差損と手数料が大きすぎたということになります。

 

このような大きな失敗を犯しながらも、やはりそろそろトルコリラは底値ではないかと期待してしまい、マネーパートナーズのFXでトルコリラ投資を続けています。

トルコリラが40円台に再び返り咲くことを夢見て…

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